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「『フル装備の家』とはこういうことだったんですね!
感心しました」
ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2018大賞受賞を記念して、審査委員会委員長を務める東京大学名誉教授・坂本雄三教授に本社まで足を運んでいただき、大賞受賞の経緯や理想的な住まいについてお話をおうかがいしました。
「泉北ホームを評価いただいたポイント」「2×4工法の真価」、そして「教授が理想とされる住まい・社会」とは?
(そして、冒頭のようなうれしいお言葉も含めて)弊社社長との対談を通して、一つひとつ紐解いていきます。
2019年4月2日 取材
1953年 | 大阪府生まれ |
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1976年 | 山本工務店を設立 |
1990年 | 「泉北ホーム」に社名変更。また狭小地における建て替えに特化するべく、阪神淡路大震災で耐震性が注目された2×4工法に絞り「都市型3階建て」住宅を市場へ投入する |
2004年 | “フル装備の家”を発表 |
2014年 | ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー特別優秀賞を受賞 |
2015年 | 同上、優秀賞と審査委員賞をW受賞 |
2016年 | 同上、特別優秀賞 優秀企業賞で4冠達成 |
2017年 | 同上、特別優秀賞 優秀企業賞で4冠達成 |
2018年 | 同上、大賞に加え特別優秀企業賞、優秀企業賞を受賞 |
※プロフィールは2018年時点のものです
1948年 | 札幌市生まれ |
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1971年 | 北海道大学卒業 |
1978年 | 東京大学大学院博士課程修了(工博) |
1978年 | 建設省建築研究所の研究員に |
1990年 | 名古屋大学・助教授(工学部・建築学科)に就任 |
1994年 | 東京大学・助教授(工学部・建築学科)に就任 |
1997年 | 東京大学・教授(工学系研究科・建築学専攻)に就任 |
2012年 | 国立研究開発法人 建築研究所 理事長に就任 |
※プロフィールは2018年時点のものです
山本 ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジーへの応募は今回で5年目となりますが、優秀な設計部一同の努力の甲斐もあって大賞をいただくことができ、非常にうれしく感じています。坂本教授をはじめとする審査委員の皆様、また常日頃ともに切磋琢磨している協力会社の皆様に、心より感謝を申し上げます。
住まいの快適さと省エネを両立するには断熱性が重要ですが、実際の断熱材は、壁体内に隠れていてお客様の目には触れません。そんなただでさえわかりづらい断熱性にまつわる機能や製品を、ハウスメーカー各社がさまざまなアプローチ、さまざまなネーミングで売り出しているのが現状です。その中からどれを選べばいいのか、お客様からはなかなかわかりづらいのではないでしょうか。だからこそ、第三者からの客観的な評価であるハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジーは、お客様からもわかりやすい指標になると考え、これまで取り組み続けてきました。
坂本 私たち研究者が国と協力して定めた省エネ基準は、あくまで「クリアしたら合格」というものです。国の省エネ基準を超えた会社の中でも「もう少し優劣を明確にすることはできないか」とスタートしたのが、このハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジーです。大賞を受賞するということは、国の省エネ基準を超えた会社の中で最上位ということになります。
さらに言えば、前回までは年間施工棟数の少ない会社の方が受賞に有利な傾向にありました。住宅のバリエーションが乏しくても高額な予算をかけるお客様が見つかりさえすれば、高性能な家ができてしまうからです。それが悪いわけではないのですが、大手と同列で評価するのはフェアではありませんでした。そこで今回は年間施工棟数が「10棟以内」「11~99棟」「100棟以上」の3部門それぞれに大賞を設けることに。泉北ホームは「100棟以上」での大賞ですから、柔道で言えば無差別級での優勝ということになります(笑)。このたびは、おめでとうございます。
坂本 今回、大賞となったのは「フル装備の家(オール電化)」ですが、同時に応募されていたガス、ハイブリッド(併用)も性能が高いですね。建物の外皮性能でいえば、在来工法よりもたくさん断熱材が入る2×4工法、しかも通常の2×4材よりも厚みのある2×6材を採用されているので、非常に高い断熱性が実現されています。
山本 断熱性も耐震性も高い住まいづくりを実現するため、2×4工法にこだわり続けてきました。はじまりは、阪神淡路大震災の際に残った家の多くが2×4工法だったことです。また、当時泉北ホームが注力していた3階建てについても、2×4工法であれば木造での建築が可能でした。さらに理解を深めていくと高断熱・高気密も実現できるとわかり、最終的に「2×4工法一本で行こう」ということになったんです。
坂本 なるほど。実は私も2×4工法には縁があります。1991年に当時最先端だったカナダの高断熱住宅「R-2000住宅」の技術を日本の2×4工法にも取り入れるべく開催されていた、日本・カナダ両政府関係者による「日加住宅R&D会議」に参加していました。何度もカナダに足を運んで学ぶ中で感じたのは、2×4工法が実に合理的だということです。流通から設計・施工まで効率的なシステムが構築されているのはもちろん、断熱性・耐震性・防火性が非常に高い。その性能の要因となっているのが構造用合板だとわかってからは、在来工法を採用していた業者も同様の合板や筋交いを取り入れるようになりましたね。また、設備に対しても合理的です。私が取り組んでいる全館空調とも非常に相性が良く、設備も含めて確かな住まいを作り上げるという思想に基づいているのが素晴らしいと思います。
山本 ええ、2×4工法は非常に合理的ですね。明確なルールがあり、その通り施工を進めていけば一定の品質で建築できますから。教授のおっしゃるように、在来工法を選択している他のハウスメーカーでも2×4工法の評価は高まっているようで、最近では2×4工法の根幹である「モノコック構造」を採用する会社が増えてきているように見受けられます。
最近は在来工法のハウスメーカー・工務店も
2×4工法の構造用合板や剛床を取り入れてますね。
坂本 複層ガラス仕様の樹脂サッシが標準仕様となっているのもいいですね。熱貫流率(U値)は1.37W/㎡・Kですが、2.00 W/㎡・Kを切るだけでも充分な性能です。
山本 ありがとうございます。防火性能が求められる地域でも使用できる、準防火の樹脂サッシも採用しています。ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジーで評価いただけるポイントではないかもしれませんが、こだわっている部分です。
坂本 それは良いですね。私たちも20~30年前から複層ガラス+樹脂サッシを勧めていましたが、防火地域・準防火地域で展開するのに苦労しましたから。声を大にしてアピールしていただければと思います。断熱性は省エネだけでなく健康にも大きく関わってきます。高血圧は万病の元ですが、「あたたかい家に住むと血圧が下がる」ことは、さまざまな研究データで実証されています。断熱性の高い家に住んで老後も質の高い生活を送ることは、ご本人にとってもご家族にとっても幸せなことだと思います。
20~30年前から窓の重要性を主張していましたが、ようやく普及してきました。
坂本 「フル装備の家」を謳われているだけあって、設備も効率の良いものがそろっていますね。給湯や照明はもちろん、断熱浴槽や水回りの節水機能も充実していて、カバーされている範囲が幅広いと思います。今回泉北ホーム本社を訪問してショールームを拝見して、あらためて「フル装備の家」に感心しました。実は最初は、太陽光発電や蓄電池など、何でもセットになっているゴテゴテしたサービスなのかと勘違いしていたんです(笑)。でもそうではなかった。一般的なハウスメーカーでは、「低いグレードの標準仕様で価格を抑えておき、オプションでグレードを上げていってようやく普通に暮らせる家になる」というシステムが往々にしてあります。しかし「フル装備の家」は、そうしたオプション…つまりグレードの高いものをきちんと標準仕様に取り込んでいるんですね。これは価格を比較検討する際にも非常にわかりすいのではないでしょうか。業界の商習慣に一石を投じる考え方だと思うので、ぜひ広めていただきたいです。
山本 うれしいお言葉です。「手の届く価格で、良い家づくり」を大切にしてきた結果、このようなシステムにたどり着きました。
フル装備の家は、はじめから標準仕様のグレードが高い!
このシステムを広めていただきたいです。
坂本 住まいというのは、「社会の一員としての自分」がどういう住まいを建てるのかをよく考えなくてはなりません。景観への配慮も必要ですし、周辺家屋に迷惑をかけないという意味では、防火・耐震性能も重要です。省エネ性を高めることも、日本全体のエネルギー問題に関わってくるでしょう。だからこそ国がさまざまな基準を設けて制限しているのですが、あくまでそれは最低限のもの。基準を満たしたからといって、満足していてはいけないんです。その点、泉北ホームのオリジナル商品「GOTEX303」は、壁倍率で言えば基準の7.3倍もあり、耐震性能も高い。省エネ性能では国の基準の3倍ほどになるでしょうか。国の施策にも携わっている立場から言わせていただくと、非常にありがたいです。年間約400棟を建築される大きなハウスメーカーが、こうしたレベルの高い住宅を販売されるというのは、日本全体への貢献でもあると思います。ぜひこれを継続していただきたいですね。
山本 私たちも省エネをはじめ、いろいろと取り組んでいく中で、やはり国の基準を追うだけでは不十分だと感じています。より良い住まいづくりを考えていくのは、私たちハウスメーカーの使命であり、そのためにこれからも研鑽を重ねていく必要があるでしょう。教授のお話をうかがって、その思いを新たにしました。本日は本当にありがとうございました。
坂本 ありがとうございました。
※こちらのインタビューは2019年4月2日に行われたものです。